No.105 (社会主義) :
「空想的社会主義と科学的社会主義の違いとは何か?」
ロバート=オーウェン(英)、サン=シモンやフーリエ(仏)らは労働者階
級を保護する新しい社会秩序を樹立しようとしたが、革命的理論的でないた
め「空想的」社会主義とされた。それに対し、ドイツのマルクスとエンゲル
スが『共産党宣言』を発表(1848年)して、唯物史観に基づく労働者階級の
革命による政権獲得と国際的団結による社会主義社会の実現を説いたのが、
自称「科学的」社会主義である。
<評価の観点>
関心・意欲・態度:
「空想的」という言葉が、自分たちの社会主義を「科学的」として誇った人
々による「悪口」であることを知り、大きな関心を持って学習に臨んでいる。
思考・判断:
東欧諸国の自由化やソ連邦の解体などによって、失敗に終わったとされる急
進的なマルクス主義に対し、現在でも混合経済や生活協同組合等において重
要な役割を果たしている、温和な社会民主主義のルーツとしての「空想的」
社会主義の意義について考察し、的確に判断している。
資料活用の技能・表現:
マルクスとエンゲルス共著の『共産党宣言』の冒頭部と結びを読むことで、
世界を変えた言葉の重みを実感している。
知識・理解:
ロバート=オーウェン、サン=シモンやフーリエらによる社会改良的で温和
な社会主義と、マルクスとエンゲルスによる暴力革命や政権奪取を手段とし
た急進的な社会主義の、共通点や相違点、その後の世界史に及ぼした影響な
どについて、基本的な知識を身につけている。